沖縄の方言、「あんまー」の意味を知っていますか?
有名な言葉なので一度は耳にしたことがあるかもしれません。かりゆし58の楽曲にもなっていることで有名ですよね。
このように、広く知られている「あんまー」ですが、その由来まで詳しくご存じの方は少ないのではないでしょうか?
ここでは「あんまー」について、言葉の由来や意味など深堀りしていきます。
「あんまー」について理解が深まったらぜひ実際に会話でも使ってみてくださいね。
「あんまー」の意味と使い方を徹底解説

「あんまー」は沖縄の方言で「お母さん」という意味です。また、昔は身分によってつかう言葉が明確に区別されており、平民は「あんまー」、士族は「あやー」と呼んでいました。
あんまーの由来は?
「あんまー」は「お母さん・母親」を意味しますが、「沖縄大百科事典」によると、かつては「娼妓(ジュリ)の抱え親」を指す言葉でもありました。ジュリは14世紀頃の中国との交流が盛んな時期からあったため、このころから「あんまー」も使用されていたと考えられています。
あんまーの具体的な使い方、例文、返事を解説
ここでは「あんまー」の具体的な使い方や例文を解説していきます。
- 「あんまー」の使い方
あんまーまーんかいんじゃが?
(お母さんどこに行ったの?)
あんまーやこーいむぬんかいんじゃんさぁ。
(お母さんは買い物に行ったよ。)
- 「あんまー」の例文
わんがあんまーやちむじゅらさいびーん。
(私のお母さんは優しいです。)
沖縄の人は「あんまー」を使う

「あんまー」は沖縄県民ならほとんどの人が知っている方言で、全国的にも有名ですよね。
沖縄では「お母さん」よりも「あんまー」を使う方がスムーズかもしれません。
しかし、この沖縄の方言は実は昨今衰退している言語の一つと言われています。
その原因として、以下のようなものがあります。
- 明治期の「方言取締令」
- 昭和期の標準語強制や「方言撲滅運動」
- 沖縄戦の人的・文化財等の被害による地域の伝統行事等の衰退
- 戦後の米国統治によるアメリカ文化の広がり
今の若い人たちは「あんまー」は使わない
沖縄の方言である「しまくとぅば」が現在衰退しているとお伝えしましたが、特に若い世代で「しまくとぅば」離れが深刻になっています。
2021年度の「しまくとぅば県民意識調査」では、県民で「使う」割合が過去最低の28.6%に落ち込み、特に10代は20.7%と低調でした。若年層は「分からない」「使う機会がない」などが主な理由で、日常的使用の減少が顕著となっているようです。
そのため、沖縄県は2006年に9月18日を「しまくとぅばの日」に制定し、沖縄の文化の基盤である「しまくとぅば」を次世代に継承し、普及する取り組みを行っているそうです。
「あんまー」を使う年代や地域
若者の「しまくとぅば」離れが深刻化している一方で、「しまくとぅば県民意識調査」で「使う」と答えた割合が最も高かった世代が70歳以上でした。
また、普段の生活の中でしまくとぅばが「必要」だと回答したのは83・5%、出身地のしまくとぅばを将来にわたって残してほしいとしたのは85・7%でした。
このことから「しまくとぅば」の使用頻度は減少しているものの、90%近くの県民が将来に継承することを望んでいるようです。
「しまくとぅば」が沖縄の素晴らしい文化の一つと考えられているのではないでしょうか。今後の「しまくとぅば」の動向にも注目していきたいですね。
「あんまー」が使われている映画やドラマのタイトルやシーン

ドラマの作中で使われている例と、ドラマのタイトルに使われている例がありました。
まずはドラマに使われていた例をご紹介します。
NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の第127~132話「お母さん(あんまー)は大忙し」に使われています。「ちゅらさん」は、2001年に放送されたNHKの連続テレビ小説で、沖縄・小浜島を舞台にしたドラマです。看護師として働く主人公のえりが、任された新人の指導を通して、子育てをしながら働く難しさを実感するエピソードです。
また、ドラマのタイトルとして使われている例は、沖縄県出身の4人組バンド・かりゆし58の名曲をモチーフにした「アンマー」と言うドラマです。「アンマー」は産み育ててくれた母への感謝と愛情をつづった歌詞が大きな共感を呼び、今でも世代を超えて愛され続けている名曲です。ドラマは「アンマー」で歌われる母と息子の“繊細で深い絆”をテーマに、沖縄県・名護市を舞台に描かれています。
「あんまー」は店名などにも使われている

沖縄で女性は働き者、しっかり者という印象があるため、店名や商品名など様々なところで使われているようです。
その中のいくつかをご紹介していきます。
居酒屋 あんまー
まず、1つ目はお店で使われている例です。
沖縄料理と泡盛などのお酒を提供する居酒屋さんです。飲み放題もあるそうなので、沖縄料理と一緒にお酒もたくさん楽しみたいという方は良さそうですね。
下にお店の情報のリンクを貼っておきますから気になったら一度訪ねてみてはいかがでしょうか。
「居酒屋 あんまー」
〒811-1302 福岡県福岡市南区井尻3丁目17−25
お土産で使われている事例
「あんまー」が使われている事例はありませんでした。
「あんまー」に関する新たな情報が入り次第更新いたします。
その他で使われている事例
沖縄のわらべうたで使われていました。
「いったーあんまーまーかいが」(沖縄本島・一般)と言うタイトルの歌です。沖縄人(ウチナンチュ)の郷愁を誘う美しい旋律と親しみやすい歌詞を持つこの曲は、沖縄芝居や歌劇で広く歌われ、全島的に親しまれています。地方ごとに歌い方や歌詞が異なるわらべうたで、近年は歌劇や民謡歌手によってさらに広まっているようです。
同じ曲ですが、歌詞や曲が多少異なるバージョンも存在します。気になる方は調べてぜひ聞いてみてくださいね。
「あんまー」にまつわるエピソード

有川浩による小説「アンマーとぼくら」は、かりゆし58の楽曲「アンマー」に着想を得て書かれたそうです。
あらすじは以下の内容です。
休暇で沖縄に帰ってきた主人公のリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。
有川浩さんは『図書館戦争』『植物図鑑』等、数多くのヒット作を持つ人気作家です。「アンマーとぼくら」は10万部も売れ、本人も「現時点で最高傑作」と自ら絶賛するくらい反響の大きい内容となっています。
まとめ

今回、沖縄方言の「お母さん」「あんまー」について言葉の由来や使われ方など深堀してお伝えしました。
「あんまー」は有名な楽曲などで全国的に知られている言葉でしたが、沖縄の方言は今消滅の危機にある言語です。
沖縄の貴重な文化の一つである沖縄の方言は後世に引き継がれていくべきだと感じます。今後も沖縄方言を守るためのさまざまな取り組みに注目していきたいと思います。