沖縄の方言、「なんくるないさ」の意味を知っていますか?
きっと誰もが一度は耳にしたことがある沖縄を代表する方言ですよね。
親しみやすい響きとどこかかわいらしい印象のある言葉で、使ってみたいと思ったり実際に意味を知っていて使われている方もいるかもしれません。
一般的に「大丈夫だよ~」と楽観的な意味合いで使われるイメージですが、実は沖縄の少し悲しい歴史が関係する、深い意味合いを持つ言葉のようです。
ここでは「なんくるないさ」について、言葉の由来や意味など深堀りしていきます。
「なんくるないさ」について理解が深まったらぜひ実際に会話でも使ってみてくださいね。
「なんくるないさ」の意味と使い方を徹底解説

「なんくるないさ」といえば一般的に「大丈夫です」という意味で広まっていますが、実はあまり知られていない、もう少し深い意味を持つ言葉です。
これには、太平洋戦争など沖縄の歴史が関わっています。
それでは、ここから「なんくるないさ」の由来と意味を解説していきます。
なんくるないさの由来は?
まず、「なんくるないさ」は「なんくる」と「ないさ」の二つの沖縄方言が合わさってできた言葉です。
「なんくる」は、自然に。ひとりでに。という意味で、「ない」は成る(なる)という意味です。
今では「なんくるないさ」はひとつの単語として使われていますが、実はこの前に省略された言葉があり、本来は『まくとぅそーけーなんくるないさ』という言葉でした。
この「まくとぅそーけー」は「正しい事、真(誠)の事」を意味します。
つまり、「まくとぅそーけーなんくるないさ」は正しい事をしていれば自然と物事は成るという意味なのです。
そしてこの「なんくるないさ」という言葉誕生の背景には、戦後の沖縄の人々の暮らしが関わっています。
沖縄戦終結後、沖縄はアメリカ軍の支配下にあり、沖縄の人々は衣食住や文化といった様々なものをアメリカに統治されることを余儀なくされました。
人事を尽くして天命を待つということわざもありますが、まさに沖縄の戦後の厳しい環境下で、「生きていて、すべき努力をしていたらいつかきっと報われるさ。」という沖縄の人々の思いからできた言葉だといわれています。
自分たちの力ではどうにもならないことに対してもやれることはやった、だから大丈夫。という沖縄の人々の強い思いが感じられますね。
なんくるないさの具体的な使い方、例文、返事を解説
なんくるないさは「正しい事をしていれば自然と物事は成る」という意味です。
「きっとなんとかなるから大丈夫だよ」と軽い気持ちでの励ましではなく、「もうやれることはやりつくしたんだから大丈夫だよ」というように、心からの励ましやエールを贈りたい時に使うようです。
沖縄の人は「なんくるないさ」を使う?

沖縄の方言を「しまくとぅば」と言いますが、実は昨今衰退している言語の一つです。
平成21年には、ユネスコ(国際教育科学文化機関)により、消滅の危機に瀕する言語に指定されているほどです。
「しまくとぅば」は、昔から代々受け継がれてきていて、組踊や琉球舞踊、沖縄芝居と並ぶ沖縄文化の象徴でもあります。
「なんくるないさ」は一度は誰しも耳にしたことのあるような有名な言葉ですが、実際に使われている言葉なのでしょうか?
今の若い人たちは「なんくるないさ」は使わない
現在では、沖縄の方言「しまくとぅば」が分からない若者も増えていると言われています。
2021年度の「しまくとぅば県民意識調査」では、県民で「使う」割合が過去最低の28.6%に落ち込み、特に10代は20.7%と低調でした。
若年層は「分からない」「使う機会がない」などが主な理由で、日常的使用の減少が顕著となっているようです。
そのため、沖縄県は2006年に9月18日を「しまくとぅばの日」に制定し、沖縄の文化の基盤である「しまくとぅば」を次世代に継承し、普及する取り組みを行っているそうです。
「なんくるないさ」を使う年代や地域
現在、沖縄の方言「しまくとぅば」は徐々に使われなくなってきていると上述しました。
実際、なんくるないさも沖縄の日常生活で使われる事はほとんどないそうです。主に使うのはご年配の方で50代より下の世代はほぼ使いません。
日常会話で使われるというよりは、沖縄を連想させる表現だったり、のんびりとした沖縄の県民性を表現する言葉として用いられることが多いようです。
「なんくるないさ」が使われている映画やドラマのタイトルやシーン

2011年に『24時間テレビ34「愛は地球を救う」』内で放送された玉元栄作の闘病記を実写化したドラマ「生きてるだけでなんくるないさ」のタイトルで使われています。
また映画のタイトルでも使われています。
2022年公開の「なんくるないさぁ劇場版 生きてるかぎり死なないさぁ」と言う映画で、沖縄芝居を代表する喜劇の女王・仲田幸子と孫の島唄ボーカリストの仲田まさえが主演の沖縄全島を舞台としたコメディ映画です。
「なんくるないさ」は店名などにも使われている

「なんくるないさ」は沖縄を代表するシンボルとしてお店や物の名前など様々なところで使われているようです。
その中のいくつかをご紹介していきます。
ゆくいどぅくま なんくるないさぁ
まず、1つ目はお店で使われている例です。
沖縄本土だけでなく、関東関西でも「なんくるないさ」は店名に多く使われていました。ここでは沖縄で使われていた例をご紹介します。
こちらのお店は「ゆくいどぅくま なんくるないさぁ」という居酒屋さんです。
「テビチ」が名物で、沖縄の郷土料理を楽しみながらカラオケもできる居酒屋さんです。
場所も国際通りからタクシーで約10分の距離にあり、メニューはどれも600円前後ととてもリーズナブル。営業時間も18時〜3時まで営業されているので、時間を気にせず沖縄を満喫できそうです。
下にお店の情報のリンクを貼っておきますから気になったら一度訪ねてみてはいかがでしょうか。
「ゆくいどぅくま なんくるないさぁ」
〒902-0075 沖縄県那覇市字国場404-2
https://www.nankurunaisa-naha.com/
お土産で使われている事例
いくつかみつけたので紹介していきます。
一つ目は「沖縄方言 栗国島の塩入り 10本セット」
こちらは10種類の塩のボトルに、それぞれ沖縄の方言が1つずつ書かれています。そのうちの1つおむすび塩の名前になんくるないさが使われています。
2つ目は、「沖縄方言マグネット」です。
可愛いシーサーの絵となんくるないさと言う言葉が書かれたマグネットです。冷蔵庫などに貼ると賑やかになりそうですよ。
3つ目は「Tシャツ」です。
無地のTシャツにシンプルになんくるないさと書かれています。
やはり、なんくるないさという言葉はとてもメジャーな沖縄方言の1つなので、沖縄のシンボルとして、いろいろなお土産に使われています。沖縄のお土産として家族、友人に喜ばれるかもしれませんよ。
その他で使われている事例
2023年沖縄のサンエ浦添西海岸 PARCO CITYで「ちいかわシーサー祭り」というイベントが行われています。
これは沖縄とちいかわがコラボしたもので、イベントではシーサーになったちいかわのキャラクターグッズが売られています。このちいかわグッズにもなんくるないさが使われていたようです。
「なんくるないさ」にまつわるエピソード

「なんくるないさ」についておもしろいエピソードは見つかりませんでした。
また新たにエピソードを見つけた場合はすぐ更新します。
まとめ

今回、沖縄方言の「大丈夫です」「なんくるないさ」について言葉の由来や使われ方など深堀してお伝えしました。
戦後のアメリカ軍の統治下の中、自分たちの力ではどうにもならないことが多々あったと思います。
そのような中で生まれた言葉「(まくとぅそーけー)なんくるないさ」。
今ではこの、まくとぅそーけーは省略され、「なんくるないさ」は沖縄以外の人々にも知られる言葉になっています。しかし、この記事で「なんくるないさ」の由来、意味を深く知り、今までと違う印象に変わった方も多いのではないでしょうか?
ぜひ、これからは由来や意味を知り、おのおのが感じ取った使い方で「なんくるないさ」を使ってみてくださいね。