沖縄方言といえば、「めんそーれー」、沖縄を訪れたときにそこかしこで見かけるであろう「めんそーれー」の看板。
一般的には「いらっしゃいませ」
と訳され、観光客を迎えるキャッチフレーズとして知られています。沖縄に行ったことがない方でもおそらく聞いたことがあるフレーズでは無いでしょうか。
今回は「めんそーれー」についての意外な過去も徹底解説していきたいと思います。
「めんそーれー」の意味は、由来、使い方を徹底解説
沖縄方言の中でも「めんそーれー」という言葉がどうしてここまで有名になったのか。
それは1975年の沖縄国際海洋博覧会(海洋博)の準備期間中に、「めんそーれー」の使用が提案されたことから始まります。
当初『敬語では無い』や『お客様に無礼である』といった批判もありましたが、最後は聞き馴染みが良く親しみやすい、シンプルさなどが評価され採用となりました。
「めんそーれー」の意味、由来は?
「めんそーれー」の意味は「いらっしゃいませ」や「ようこそ」です。より正確には「いらしてください」というニュアンスの丁寧な表現だとされています。
そして由来は「参り召しおわれ」(まいりめしおわれ)や「参り候え」〈まいりそうらえ)という日本の古語に由来しています。
それらの丁寧な表現が沖縄の言葉に取り入れられ、発音が変化して「めんそーれー」になったとされています。
沖縄方言は、こうした古語が変化したことばが多くとても興味をそそられますね。
めんそーれーの使い方は?
「めんそーれー」は主に「いらっしゃい」「ようこそ」の意味で使われます。
この項目では「めんそーれー」の具体的な使い方についてみていきましょう。
■観光客を迎える場面
「めんそーれー沖縄へ!ゆっくりしていってください。」
(ようこそ沖縄へ!ゆっくりしていってください。)
■お店でのあいさつ
「めんそーれー!当店へようこそ」
(いらっしゃいませ!当店へようこそ)
実は日常で「めんそーれー」を使わない
「めんそーれー」は沖縄方言ではよく知られていますが、実は日常ではあまり使われていないそうです。
前述したとおり、「めんそーれー」は観光復興のために、広く使われ始めた言葉で、もともとは観光客を歓迎するために普及した造語的側面があります。
また、「めんそーれ」は観光客向けの表現であることから、通常の会話よりも特別な来客時に使われる方が適しているため、日常であまり使われていません。
「めんそーれー」を使うシーン
「めんそーれー」が日常で使われないことは理解していただけたと思います。それなら、実際はどのようなときに「めんそーれー」が使われているのか?となりますよね。
「めんそーれー」は観光客を歓迎する際に使われる沖縄特有の表現で、観光地や空港、ホテル、レストラン、観光案内所などで出迎えや接客時に適しています。
祭の開会時、沖縄料理店や、お土産でのあいさつ、特別なゲストを迎えるなどの観光や商業的なシーンで使われています。
このことから「めんそーれー」が日常で使われないことは理解していただけたと思います。それなら、実際はどのようなときに「めんそーれー」が使われているのか?となりますよね。
「めんそーれー」が使われている映画やドラマのタイトルやシーン
ー呪術廻戦第70話『懐玉ー陸ー』ー
呪術廻戦70話より引用
こちらは人気漫画『呪術廻戦』より、敵にさらわれた仲間の引き渡し場所が沖縄だったときのシーンがこちら。
このシーンでもやはり沖縄に来たら「めんそーれー」と印象付けられます。
「めんそーれー」は店名などにも使われている
「めんそーれー」は有名な単語ですから、いろいろな場所で使われています。ここからは、お店や、お土産などに使われている「めんそーれー」をみていきましょう。
お店の名前で使われている事例
「郷土料理めんそーれ」
このお店では、沖縄の郷土料理を提供しています。口コミで特に注目されているのは、「セミエビ」や「ヤシガニ」を食べられることです。
珍しい食材が楽しめるだけでなく、ゴーヤーチャンプルやソーキそばなど定番の沖縄料理も豊富に揃っています。沖縄旅行の際には、ぜひ訪れてみたいお店です。
お店のホームページのURLを下に貼っておきますので、興味があればご覧ください。
お土産で使われている事例
「石垣島米子焼工房シーサーめんそーれ」¥2860
とってもやさしい顔をしたかわいいシーサー、小さいサイズの部屋置きシーサーですので、インテリアとして玄関やお部屋にかざってみては?縁起物ですから贈り物としてもきっと喜んでもらえます。
看板で使われている事例
那覇空港「めんそーれ」の看板
「沖縄」関連の検索をすれば、那覇空港の「めんそーれ」の看板を目にすることはほぼ間違いありません。それくらい有名な沖縄空港の「めんそーれ」の看板。
「めんそーれー」は先程も述べましたが、歓迎を表す言葉ですし観光や特別なお客様を迎える言葉ということで、これほどうってつけの看板はないでしょう。
「めんそーれー」にまつわるエピソード
「めんそーれー」は有名ですが、やはりそこまで有名になるためにはそれなりのエピソードがあるのです。
この項目ではそちらのエピソードを詳しくみていきましょう。
「めんそーれー」が広く使われるようになったエピソード
この「めんそーれー」がここまで浸透した要因は先程も述べたように1975年の沖縄国際海洋博覧会(海洋博)がきっかけでした。
1972年12月21日、那覇市で「海洋博を成功させる会」が発足し、その翌日に地元新聞で「めんそうれぇお国ことばで客を迎えよう」という記事が掲載されました。このフレーズは、鹿児島国体で用いられた「まっちゃげ申した(お待ちしておりました)」に着想を得たものです。
一方で、「めんそーれー」は「敬語ではない」「お客様に無礼だ」といった批判も受けました。実際、正確な敬語表現は「いめんせーびれー」ですが、難解さから採用されませんでした。最終的に、正確さよりも耳心地の良さや馴染みやすさを優先し、「めんそーれー」が採用されることになりました。
このように、「めんそーれー」は海洋博を契機に、沖縄復興と文化的アイデンティティを表現するために戦略的に採用、普及していった経緯があったのです。
現代では、「めんそーれー」は沖縄を象徴することばとして広く認知され、観光客を迎えるキャッチフレーズとして定着しているのです。
まとめ
今回は「めんそーれー」について詳しく解説してきました。
「めんそーれー」は、沖縄特有の温かい歓迎の心を表す言葉として、観光を通じて広く認知されるようになりました。もとは観光客を歓迎するための表現として採用されたものの、その響きの親しみやすさから、現在では沖縄文化を象徴することばとして定着しています。
一方で沖縄方言が失われつつあるという現象も起こっており、このことについて沖縄県も危機感を持って行動をしています。
このことについてわたしたちができることは、今ある沖縄方言を大切にし、次の世代に継承する環境を整えることだと感じました。
これからも沖縄方言を失わないよう見守っていきたいと思います。