あいさつ・声掛け

【沖縄方言】良い年んけーみそーりの意味は「良いお年を」使い方、由来も解説

街中に広がるイルミネーションが年の瀬を感じさせてくれる季節に、日本各地で「良いお年を!」という挨拶とともに別れていく人々を見かけますね。

沖縄の年末の挨拶は何というのでしょうか?

沖縄は家族や親戚の絆が深い地域性があり、地域によっては旧暦でお正月を迎える場所もあるなど、独自の文化や風習が色濃く反映されています。そのため、年末の挨拶も地域や文化に即した言葉があるのではないでしょうか。

今回は沖縄の年末の挨拶について深堀していきましょう。

「良い年んけーみそーり」の意味は「良いお年を」です。

実は「良い年んけーみそーり」の他にもよく使う「若年(わかどぅし)からんけーみそーりよー」という言い方もあります。「若々しいお年をお迎えください」という意味です。

使い方としては、「良い年んけーみそーり」が一般的に使われる言葉で、「若年からんけーみそーりよー」は年配の方に使います。

めんそーれーの由来は?

「良い年んけーみそーり」を分解して解説すると下記のようになります。 

良い年(いいとし):「よい年」という意味を表します。

んけー:「迎え」という意味を表します。

み:「み」=「御」で敬語を表す助詞です。この「み」は「んけー」にかかります。

そーり:「ください」という意味を表します。

「みそーり」が付くと敬語なので、実は「良い年んけーみそーり」は「良いお年をお迎えください」という丁寧な言い方になります。

良い年んけーみそーりの具体的な使い方、例文、返事を解説

親戚に対して

A:それじゃあ、にーにー(お兄さん)、良い年んけーりよー(良い年けーみそーりの
  カジュアルな表現)

B:あぁ、またたげーに、良い年とぅらやー(あぁ、互いに良い年を迎えようね)

沖縄では親戚付き合いが頻繁にあり、また、代々その地域に住んでいる人が多く、親戚は同じ地域にかたまっていて、遠く離れた親戚はあまりないので、改めて挨拶をするというよりは、気軽な感じの表現が多いです。

馴染みのおじいさんやおばあさんに対して帰る時

A:若年からんけーみそーりよー(若々しい年をお迎えください)

B:ん-、やぁん、若年からんけーりよー(うん、あなたも、若々しい年を迎えてね)

年が明けて、「また一つ年を取った」と思うのではなく、「いつまでも若々しく元気でいてください」という意味が込められています。

ポジティブな沖縄県民らしい言葉ですね。

最近では残念ながら「良い年んけーみそーり」などの沖縄方言は一般的に使われていません

現在、沖縄方言をきちんと使えるのは、80代の世代までで、中年層は聞き取りはできても話すことができないという方が多いです。

今の若い人たちは「良い年んけーみそーり」は使わない

沖縄方言は、2009年にユネスコ(国際教育科学文化機関)により、消滅の危機に瀕する言語に指定され、沖縄県が平成25年度に行った調査において、その実態が明らかにされています。

「良い年んけーみそーり」に限らず、若い世代は方言に接する機会が減少し、方言の担い手が地方にいないこともあって、方言離れが起きていると言われています。

「良い年んけーみそーり」を使う年代や地域

2022年の琉球朝日放送のニュース番組のインタビューでは、下記のような回答が得られていました。

80代:「私は内科の医者だけど、外来の患者さんには方言で話しています。でも、高齢者
    が使わなくなってきて、自分もだんだん使わなくなった」

30代:「おじいちゃん、おばあちゃんが話すのはあんまり分からない」

40代:「聞くことはできるかな。こんなこと言っているなというのは分かる」

小学生:「わかんない」

このニュースによると、2022年に県が行った意識調査では、沖縄方言を「主に使う」「共通語と同じくらい使う」「挨拶程度使う」と答えた人は、前年に比べて14ポイント減少し、全体のおよそ30%とのことでした。

「良い年んけーみそーり」がタイトルなどに使われている映画やドラマ等は見つかりませんでした。

「良い年んけーみそーり」に関する新たな情報が入り次第更新します。

しゃべる自販機

ダイドードリンコの「おしゃべり自販機」の沖縄方言バージョンが沖縄県内に設定されています。

お金を入れると:(女性の声で)なー、にんしーなよういびしが、正月のしこうーえー
        ちゃんとなといびーん(もう年末ですね。正月の準備はできていますか?)

おつりが出ると:くぬー年ぬぇーだ、にふぇーでーびる。良い年、んけーみそーり。(ありがとうございます。お釣りを忘れないでください)。

と言ってくれます。

親戚の伯母との思い出エピソード

今回は私の体験談について書こうと思います。

私の親戚にやたらと加齢を気にする伯母がいました。もう、80歳も近いおばあさんなのに、
看護師さんなどの知らない人が「おばあちゃん、」と話しかけたら、「はぁ⁉なーま、うぬ年やあらんむんぬ!」と怒っていました。
しかし、「おばさん、」と呼ばれると喜んでいました。
伯母は近くに住んでいたので、頻繁に会っていて、年末、「若年からんけーみそーりよー」と声をかけると、にこにこと喜んで、翌年はお年玉をたくさんくれました。

沖縄はお年寄りを敬うことを大切にする思想があるため、挨拶の言葉もお年寄りを気遣う意味合いが強い言葉がたくさんあります。

しかし、沖縄方言は、2009年にユネスコ(国際教育科学文化機関)により、消滅の危機に瀕する言語に指定され、使っている人も減少傾向にあります。

しかし、沖縄各地に伝承されてきた沖縄方言は、地域の伝統行事、祭り、料理、芸能などの沖縄固有の文化の礎であり、その文化を継承するうえで不可欠なものです。

この記事が沖縄方言が末永く受け継がれていく一助となることを願って、これからも沖縄の魅力を深く掘り下げて発信していきたいと思います。

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